子どもの健やかな成長のためには、食事は無視できないものですよね。保護者からの相談の中でも、食事関連のお悩みはとても多いです。
保育者も子どもが食に興味を持つための活動を、日々試行錯誤しています。今回はその中でも、より好評だったものを厳選しました。
目次
食育を行う際に意識するポイント
安全に楽しく行うために抑えておきたい事をご紹介します。
アレルギーへの配慮
食べたことのない食材は食育に使用しないようにしましょう。
衛生面
子どもが「料理は衛生面に配慮して行うもの」という意識を持つためにも、必ず手を洗い、机を消毒しましょう。実際に口に入れないものでも、同じように扱います。
時間的余裕
実際にお手伝いとして調理を行う食育はかなりハードルが高いです。例えば夕飯の時間に間に合わせるために子どもを急かしてしまうと、せっかく楽しんでいたものを大人の都合で取り上げられ、嫌な思い出が残ってしまいます。
食育は食に対するイメージアップ活動です。
時間のあるときに行いましょう。
適切な言葉がけ
食材が調理されて料理になる工程は、見た目が大きく変わり、子どもには自力での理解が難しいです。イメージが付くような言葉がけを意識しましょう。
成長に合った活動内容
0〜1歳の乳児には食材に興味を持つ事を目的とし、食材を使った遊びをおすすめします。
2歳以上の幼児には実際に調理に携わり、食べるところまで出来ると理想的です。
食育紹介
乳児向け食育①小麦粉粘土
作り方
①小麦粉200g、水120ml、塩大さじ1、サラダ油小さじ1を混ぜる。
②必要に応じて小麦粉や水の量を調整し、手にくっつかない硬さになるまで練る。
③食紅で着色する。
塩は細菌の増殖を防ぎ、水分の蒸発を抑えてくれる他、万が一口に入れてしまった時も塩辛くて吐き出すための誤飲防止になりますので必ず入れてください。
油はさわり心地を良くするために入れますが、入れなくても良いです。
子どもには両手で持てる量を渡します。
あまり量が多いと捏ねるのに力を必要とし、長く遊ぶことが出来ません。
ちぎったり丸めたりしながら子どもが楽しむ横で、大人は小麦由来の食べ物を作って見せます。
メロンパン、肉まん、餃子は形に特徴があり、本物そっくりに出来上がるのでおすすめです。
また、ラップの芯などで伸ばして、クッキー型で型抜きして遊ぶのも楽しいです。
「この粘土は小麦粉で出来ているんだよ。」
「小麦粉ではこんな食べ物が作れるんだよ。」
と学ぶことが出来る言葉がけをしてください。
パン等が出てくる絵本を活動前に読んだり、活動後に小麦で出来た食べ物を食卓に出すとより学びを深めることが出来ます。
乳児向け食育②野菜スタンプ
野菜の切れ端でスタンプを押します。
紙皿に水で伸ばした絵の具を出すだけで簡単にスタンプ台を作ることが出来ます。
使用する野菜は何でも大丈夫ですが、レンコン、小松菜の軸、ゴーヤ、オクラ、ピーマンは断面が特徴的なのでよく保育園でも使用されます。
子どもがスタンプで遊んでいる横で
「昨日食べたシチューに入っていたね。」
「今日の夜ご飯はこのお野菜が出てくるよ。」
等、今遊んでいる道具と食べ物のイメージが繋がるような言葉がけをしてみてください。
台紙はただの画用紙でも良いですが、
・色画用紙で作ったカレーに具を乗せる
・小松菜の軸ととうもろこしの断面がお花に似ているので花束を作る
等コンセプトを決めて行っても面白いです。
幼児向け食育①野菜の型抜き
幼児になるとより言葉のやり取りや、物事を深く理解することが出来るようになります。食育も、より学びに特化した物に挑戦してみましょう。
食材を調理し、料理になるまでの一連の流れを学べる食育をご紹介します。
大根や人参を薄く輪切りにし、クッキー型で型抜きをしてもらいましょう。
楽しみながら気軽にでき、終わりが見えるので達成感も感じられます。万が一、途中で飽きてしまっても料理に影響しない所もおすすめポイントです。汁物にする等して、かわいい野菜を美味しく食べてみてください。
プランターがあるご家庭は、この流れの始めに収穫の作業を入れることも出来ます。土の中に買ってきた野菜を埋めておき、子どもに収穫してもらいます。実際に育てるには時間がかかってしまいますが、これなら簡単に収穫体験ができます。葉付きの物を選び、子どもに見つからないように埋めてください。
プランターがないご家庭は、調理の際に、この野菜は土の中で育つということをお話してあげてください。
誰かが育てたものを食べているということを学び、食材に感謝できるようになることはとても大切です。
幼児向け食育②卵を混ぜる
卵は、割る、混ぜるという一連の行為の中に視覚的変化を感じやすく、身近な食べ物なので食育利用に適しています。
今回は卵焼き作りの提案です。
卵を割る作業は一緒に出来るともちろん良いのですが、難しい作業なので、見せるだけでも十分です。卵には黄身と白身があることを見せながら伝え、ボウルを抑えてあげながらかき混ぜます。子どもは黄身は割れると丸くなくなること、白身は粘度が高く混ざりにくいことを知っていきます。上手な混ぜ方を伝えたり、卵が入っている料理がたくさんあることを話しましょう。
気が済むまで混ぜた後は、予め小皿に取り分けておいた調味料を子どもに入れてもらいます。
油を塗ったタッパーに卵液を入れたら、ラップをして電子レンジで500W1分半。取り出して再度かき混ぜ2〜3分電子レンジにかけると、火を使わず安全にフワフワの卵焼きを作る事ができます。
子どもも、自分で作った料理は特別美味しく感じられるのではないでしょうか。
まとめ
今回は4つの食育をご紹介しました。
調理したものを実際に食べられる事は、ご家庭ならではの食育です。
日常の中でも、スーパーで一緒に食材を選ぶ、食事の出てくる絵本を読む等、小さなことから始めることが出来ます。是非試してみてください。